作品紹介 035 被虐の街  



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 『被虐の街』

目次
二次元コード
最初の落札者
肛虐縛り
言葉で嬲られて
恥部いじり
すべての穴を支配されて
拡張責め
野外調教
淫らなランチ
露出散歩
産卵遊戯
洗濯バサミの悦楽
懲罰
変態労働
残酷な夜
ハメられて
旅行に連れ出される
宿で見世物に
お座敷SMショー
露天風呂
踏みつけられて
火炙り刑
残酷嬲り
果てしない悦虐
終章
   奥付


101392文字
400字換算254枚



杏奈は、32歳。結婚4年目。子どもはいない。
夫に隠してネットビジネスをはじめていたが失敗。多額の借金をしてしまう。
その借りた先は、女性だけに個人的に貸す春川華純という20代の女。
不法な金利でいつしか500万もの借金になっているという。訴えてもいい、と開き直る華純は、
「あなたはおきれいだから、すぐ返せると思うし、そうした方がこの街に住み続けるなら、安全だわよ」
と、特殊な返済方法を持ちかける。
「オークションってところね。クラウドファンディングと言ってもいいし。お金を出してもいいという方が、匿名でネットで参加するのです。市場のセリのようなものと思ってくれてもいいわ。あなたならすぐに出資者があらわれて、問題は解決すると思うわ」
杏奈は、それを了承してしまう。
脇の下にコードを刺青され、ネットを使った秘密のオークションで、たちまち出資者を得た。
杏奈を1日自由にできる権利を得た者が2人。3日間自由にできる権利を得た者が2人。
合計、4人の買い手に8日間、身を預ければ、借金は返済されるという。
ただし途中で棄権すれば、借金はまったく減らない。

「ここの会員は、指折りの変態揃いだからね」
出資者たちは、杏奈の体をむさぼり、地獄に叩き落とす。

「奥さんはここでセックスしたことがあるかな?」
「あぐうう」
 あるわけがない。叫んでいた。

「どっちで出そうかな、一発目。なあ、どっちがいい? 杏奈が好きな方に出してやるよ」

「ぐはっ!」
 鋭い痛みに目を見開いていた。
「ははは。さすがに正気に戻ったな」

「叫んでもいいし、ここでやめてもいい。訴えてもいい。だけどそれで杏奈はすべてを失うんだよ。セリにかけられて、四人の男たちに買われたんだよね。その事実が出てしまう」

「おもしろいもの、見ていかない?」
 私は犬のように便所に連れ戻された。
「こいつを便器にしてやってほしいの」

 杏奈の一人称視点で描く人妻嬲りをお楽しみください。
 

 主な責め
  首輪/鎖/拘束具 ムチ/縄/蝋燭 人妻 SM 調教 奴隷

 初出 ブログ版 ダイジェストのみとなっています。

著者からのメッセージ

『被虐の街』は人妻を主人公とした、ストレートなSM小説(当社比)です。メインは調教、羞恥責めです。そこに早い段階から肛虐も盛り込んでいます。しかし、あんぷらぐどの作品にしてはグロテスク、猟奇的な描写は少なく、ほとんど血も流しません。肉体的な残酷さはありませんが、心理的にはかなり過酷です。
 私のSM小説の主人公は、女子校生、大学生、OL、人妻といった「立場」を意識しています。SM小説だけではなく官能小説やAVでも、主人公の立場を明確にする傾向があることはご存じの通りです。
 これまでの人妻作品は、『家畜妻の歌』や『M妻佳乃の崩壊』『美魔女狩りシリーズ』(浅木郁子編、我妻千鶴子編)、『共用淫虐妻・千春』(十二階)、『縄味』があります。
 もっとも、『M妻佳乃の崩壊』や『美魔女狩り・我妻千鶴子編』の主人公は、別居していたり離婚しているため、厳密に人妻とは言えないかもしれません。
 この『被虐の街』は、当初はノワール系の作品を書こうと構想していました。構想段階での主人公は冒頭に出てくる二十代の金貸し、春川華純です。彼女はいわゆる闇金ですが、お金を貸す対象を女性に限定し、しかも厳選しています。本書の主人公「私」(名前は杏奈)は、その毒牙にかかった被害者です。
 タイトルに「街」としたのは、この街の裏を牛耳っているこの華純をメインで構想していたからです。ブログ連載時には「杏奈編」として考えていました。この街には、借金の返済のためにアブノーマルな欲望の犠牲となっていく女性がたくさんいる、というイメージです。
 大好きなスティーブン・キングの作品に映画にもなった『ニードフル・シングス』があります。もっと初期には『呪われた町』もあります。いずれも町全体を舞台としたホラー作品で、とくに『ニードフル・シングス』は一人の男によって町が崩壊していくドミノ倒しをみごとに描いています。人々の欲望をかなえてあげることが、大きな災厄を招いていくのです。
 杏奈の住む町も、ごく普通に生活していれば日本中のどこにでもある町です。しかし華純と接触した者は、表からは見えない闇へと引きずり込まれていくのです。
 杏奈はIT企業に勤める夫と二人暮らし。ブラック企業と揶揄されるほどハードに働かされているので、夫婦生活もおざなり。
 三十二歳になって子どももなく、もし夫が倒れたら、または離婚することになったらと考えて自分のビジネスをはじめました。ネット通販の事業で、同じマンションの主婦たちにモニタリングしてもらうなどして、交遊関係を拡げているうちに女性だけにお金を貸す華純の存在を知ります。
 最初はごくわずかな金額を短期間借りて、すぐに返済しました。親切で便利だと感じたわけです。ですが、あるときネット通販で仕入れた商品の価格が暴落して大きな損失を出します。その損失補填のために、百万円近い金額を借ります。闇金ですので支払いが滞ると雪だるま式に借金が膨らんでいきます。ついには五百万近くに。
 夫にはとても言えない、なんとか返済するにはどうすればいいか、と悩む杏奈を華純は闇へと引きずり込みます。
「オークションで借金を肩代わりしてくれる人を募集すればいい」と。
 代償は杏奈自身の体と時間です。ただし、この方法で返済できるのは一回限りだと念を押されて、杏奈は思い切ってオークションに参加します。条件としては、恥ずかしい全身の映像を公開することと、体のどこかに二次元コードを刺青すること。杏奈は脇の下を選びます。提供する日時は、杏奈の日常を考慮して夫に知られないように組まれます。
 オークションは順調で、わずかな時間に四人が資金を提供、全額返済となりました。一日(十二時間)杏奈を貸し切る条件で資金を出した者が二人、丸三日間貸し切る条件の者が二人。都合四人、延べ八日間の苦行を耐えればいいのです。ただし、途中で杏奈がギブアップすれば、借金は丸々残ってしまい、別の方法で返済しなければなりません。
 華純のオークションに参加する「会員」たちは指折りの変態揃い。デートしたりセックスすれば済む話ではないのです。
 八日間の調教を受ける人妻・杏奈の話を、彼女の視点(一人称)で描きました。あんぷらぐどの特徴として、被虐にあえぐ主人公に「憑依」する一人称タイプの作品群があります(典型的なのは『堕ちる 特別編』)。本書もそのスタイルで書いています。
 ブログ連載時には、最初の男(十二時間)と、その次の男(三日間)を描いて終わりました。
 刊行を前に原稿を徹底的に手を入れていき、校正も終わらせて、最後にもう一度読み直したところ、どうしても気に入りません。当初は2016年に刊行したかったのですが、著者のわがままで刊行一歩手前の原稿を、もう一度手を加えることにしました。その結果、2017年1月の刊行となりました。
 当初は一人目の男による調教のあと、いきなり三日間買い取った男へと話がジャンプしていたのですが、一人目が伏線のようにツバだけつけてやり切っていないことがいくつか残っており、それを刊行作品としてはしっかり描き切っておきたいと思ったのです。
 このため、二日目、つまりもう一人の一日買い取った者を描く必要があり、同時に全体を通して連載時にはなかった側面も描くことになりました。
 連載時との主な相違点は、二日目のエピソードがあること。そしてその結果、二日目の段階で杏奈は、華純の周到な罠にはめられたことに気づく点です。
 気づいたからといってどうにもなりません。でも、終盤の三日間の意味は大きく変わります。
 連載時、杏奈は苦痛に満ちた三日間を、一日目に覚えた被虐の悦楽に溺れるように過ごします(途中、何度か大きな意識の変化は余儀なくされるとはいえ)。今回の改稿によって、杏奈は真実に気づいた上で三日間に臨みます。
 なにがあろうとやり切るしかなく、やり切った先に待っているものは、当初甘く考えていた平和な家庭の復活などではないことも承知の上で、買い取った者の命令に従って肉体を提供することになります。
 それは女性としては、ある意味で初日以上に過酷な二日目を経験した結果です。杏奈は大きく変わっていったのです。
 とはいえこうしたストレートなSM小説のエンディングは、より過酷な未来を示唆して終わるのがお決まりですので、彼女の悦楽に対する淡い期待も打ち砕かれていきます。
 SM小説の典型として、借金を返せないかわりに肉体を、という理不尽な要求から被虐の罠にはまっていく世界があるのですが、私なりに踏襲しているつもりです。ただし、現代は自己責任の時代なので、親族の借金の肩代わりであるとか連帯保証人といった、より理不尽な設定は困難ではないかと思い、自分の借金としたわけですけれども。
 シリーズ化を構想していましたが、現在のところ続編は考えておりません。華純については本作では冒頭のみの登場で、どんな人間かはほとんどわかりません。シリーズで対応するかどうかは未定ですけれども、この華純についても、いずれはなんらかの形で作品にしたいと思っています。
 華純をメインにすると、これまでのあんぷらぐど作品とはかなり異質な話になるかもしれません。いずれ取り組みたいと思っています。

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※ダウンロードサイトによって、作品数などに違いがあります。ご容赦ください。

 なお、ここで取り上げている作品はすべて、フィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。また、特定の団体、宗教、人種、性別などを誹謗中傷する意図はありません。

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