作品紹介 036 先輩はマゾビッチ
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『先輩はマゾビッチ』 目次 いじめられるとキュンとなる お仕置きで興奮しちゃう 場所とか選べるわけないでしょ マゾを育成しよう 公開オナニーで狂う アイドル奴隷 便器への改造 朝までアナル責め 輪姦からの落書き ケツマンコのマゾ姉 キュウリを手にして アナルでイケるようになる お姉様に処女を破ってほしいです ご自由にお使いください みなさまの一票をメス豚に 大盛況のレズ大会 姉いじめに覚醒して 予選会で恥ずかしい一発芸 ガバガバの穴 さようなら、ミスキャンパス そして…… ※「そして……」は刊行用書き下ろし。 78921文字 400字にして約200枚 「ぼく」(桑田)は、大学の1年生。ちょっと偏差値高い大学だ。しかし、アイドルのようにかわいい佐波幸菜(ゆきな)に騙されて、いんちきなサークル、映画サークルに入ってしまった。おまけに、この大学によく入れたと思うほど、おバカな先輩・幸菜が試験を乗り切れるように勉強を教えるハメに。 だけど、幸菜はどうもマゾっぽい。「桑田くーん」と迫ってくる。だったら、交換条件としてマゾビッチになってもらおう。せめてそんな楽しみでもなければ、やってられない……。 遊びと勘違いしたのか、幸菜は「ぼく」の要求に従って、どんどんマゾビッチになっていく。しかも、美しい妹の女子校生、佐波菜々子(ななこ)の存在が明らかに。 マゾビッチの姉、どこか不思議な美少女・菜々子。 「ぼく」はどっちも手に入れたい! サークルのみんなと、幸菜をマゾビッチにして、それを映像化する話をどんどん進めていきながら、同時に愛くるしい菜々子を手に入れてしまおう! こうして「ぼく」の思う壷にはまっていく幸菜。それが、やがて、ミスサークルに幸菜を「出品」する話へと発展していく。より多くの人たちの前で、恥ずかしいマゾビッチ姿を晒すのだ! 幸菜はどんなマゾビッチになっていくのか。そして、菜々子は? ──あんぷらぐど(荒縄工房)ならではの、お気楽な雰囲気の中、 ガツンとぶちかますようなSM小説をお楽しみください。── |
初出 ブログ版 ダイジェストのみとなっています。
著者からのメッセージ
あるとき、サンマルクというカフェでチョコクロを食べてのんびりしていたら、隣の席の会話が聞こえてきました。ラフな格好をした若い男女です。分厚いテキストやノートがテーブルに何冊も広げられています。
「ねえ、○○くーん。ちょっと、ここ、教えてよお」
「ああ、そこですか。それ来年ぼく受ける予定の科目なんですけど……」
「あ、そっか」
「でも、わかりますよ、それぐらい。高校でやりませんでしたか?」
「へへへ」
足を組んでちょっと偉そうにしている女子。そして若い男子。話から大学生で同じサークルだとわかりました。化学の話を少しやってから、その後、サークルのスケジュールの話に移っていきました。
隣にいる私が即座にメモに「ぼくの先輩はマゾビッチ」と書いたとも知らず……。
作品の着想はどこで得られるのか、私にも想像がつかないのです。
美しい先輩を調教し、その様子を冷笑しながら映像化している若い学生。そんなイメージがありました。
幸菜の勧誘でうっかりそのダメな方の映画サークル(本当の映画サークルは別にあるのです)に入ってしまった「ぼく」は、幸菜の試験の手伝いをします。先輩の家庭教師となったわけです。
そこそこ偏差値の高い大学なので、幸菜がどうやって入学できたのかは不思議なのですが、とにかく「桑田くーん」と甘える先輩に、「ぼく」は提案をします。「お礼はいいから、1日マゾビッチになって、ぼくの言うことを守ること」。
エッチな誘いだろうと勝手に解釈した幸菜は、「ぼく」のとんでもない命令に次々と従っていくうちに、マゾの本性が剥き出しになっていきます。さらに美しい妹の菜々子がいることもわかり、幸菜を責め続けて妹を呼び出すことにも成功。
ところが、菜々子にはちょっとした秘密があって……。
荒縄工房本店での連載は、2014年1月から43回にわたりました。それを修正し加筆しつつ完成させていきました。
連載時からの変更点はいくつかありますが、もっとも大きいのは妹の名前です。伶菜という名でしたが、その後『淫虐の楽園』という作品では重要な役で玲奈という名が登場しており、自分でも好きな名なのだろうと思いつつも、こちらはより妹らしさを出したい、そして姉妹で似たような名をつけることは現実にはよくあるものの、読んでいると幸菜と紛らわしい。そこであえて妹は三文字にしてわかりやすくしました。
この作品で「ぼく」は幸菜を性的な対象として、さらに調教の対象として冷たく観察しています。恋愛対象ではそもそもないのです。
恋愛対象は妹の菜々子の方でしょう。それでも、一般的な恋愛とは違います。
私はスティーヴン・キングが好きで、その最初のベストセラー「キャリー」は深く心に残っています。映画化もされたのでご存じの方も多いでしょう。
あの作品のテーマは「血」です。母と娘という変えようのない血縁。初潮。キングはそれを超能力と結びつけて激しい物語に結実しました。
「先輩はマゾビッチ」のテーマは「被虐」です。主人公は何度か「ぼく」から逃げ出すチャンスを与えられていますが、逃げません。どっぷりと漬かっていきます。ハイスクールの「プロム」が大きな舞台となる「キャリー」になぞらえて、「先輩はマゾビッチ」は「ミスサークル」のコンテンストを大きな舞台にしています。そして幸菜はそこで「被虐」を精一杯表現することになります。
私の作品では、このように恋愛と性愛を分離させる傾向があります。大きな意味で「ぼく」は幸菜を愛しているのだと言えなくもないのですが、徹底的に酷いことをさせていくことができるのは、一般的な意味での愛とはまるで違うのです。
とはいえ、「ぼく」は幸菜から簡単に逃れることはできそうにないでしょう。突き放すことはできないのです。妹の菜々子との関係もあるし、自分のある意味の作品でもあるからです。
では、幸菜の気持ちはどうなのでしょうか。
そこは推し量るしかないのが、この作品の特徴です。被虐側の一人称を多用している私ですが、この作品は嗜虐側の一人称になっているのです。
あえて、幸菜の気持ちには深く入らず、奇妙な生き物を観察するように描写しています。
この作品では、サディストはマゾヒストの気持ちは永遠にわからないし、わかろうともしない、というスタンスなのです。これは私の主張ではありません。ですが、こういうケースもあり得るだろうと思っているのです。
傲慢な主人公「ぼく」は、最初から幸菜を見下しています。そのポジションの優越こそが「ぼく」のもっとも楽しい部分であり、それを実感するために幸菜を追い込んでいきます。
ですが、おそらくこのあと、菜々子との関係で「ぼく」のこうした気持ちは変化していくかもしれません。それによって幸菜への扱いが変わるとも思えませんが、「ぼく」は幸菜を失いたくないと思う日が来るのではないでしょうか。
この部分は本作とは関係のない部分なので、ただその可能性もあるというだけですが。
一方の幸菜は作中にも描いたように、自分の美しさを知っていて多くの男性に声をかけています。それなのに、なぜ「ぼく」の命令に従うのか。それは、もしかすると、彼の冷たさ、距離感が幸菜の快楽には理想的だったからではないのか。そういう部分も、この作品で考えてみたかったことですし、今後も繰り返し考えていくことになるテーマだろうと思います。
なお、この作品は軽いコメディとして企画しており、できれば一ヵ所ぐらいは笑っていただきたいと著者は切望しております。笑いはSM小説にふさわしくないのかもしれませんが、私はどうしても取り入れたい要素なのです。
笑いは「緊張と緩和」と言われていますけれども、SMにもまさに「緊張と緩和」があるわけで、『自虐姉』でも試みています。合わせてお読みいただければ幸いです。
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